とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

吾輩は猫である。

脚はまだない。

 

f:id:happyguppyaki:20170930181625j:plain

 

どうも私です。ヘンな記事に侵食される前に多分このブログの主人公状態になりかねない野郎の紹介しておきます。

 

タイガ君です。年齢不詳の元ノラ猫です。多分3歳くらい。中々壮絶な運の流れからウチに来たので大河君です。英語だとトラになります。ちょっと縞々してるからまぁいいんじゃね。

 

前のニャンコと死別してから猫無し生活だったんですが、去年の8月頃だったか、うちの病院に交通事故に遭った猫が担ぎ込まれたのです。それがこいつ。

なかなか悲惨な感じに左後脚が複雑骨折…というか潰れたような感じになっており、ついでに尻尾も機能を失っておりで、ノラ猫という面でも本来なら安楽死直行の路線だったんですが、ノラ猫出身とは思えない人懐こさで、潰れた左脚を引きずりながら自分にすり寄ってきたのでヤラれました。

獣医あるあるすぎる。Vet's Occupational Hazard(獣医師の職業上の危険)の中でも上位に入ってくるのがこの行き場のない動物の引き取りっていう。

 

そんなこんなで、痛み止めを打って24時間様子を見て、内側のダメージがほぼ無いと判断したので、左脚を大腿骨中央から切断、機能を失った尻尾も付け根から切断、ついでにキンタマ2個も切除という、結構な大手術というか肉体改造を行ってウチに来ました。手術前3.4kg、手術後3.4kg。なんで脚と尻尾とキンタマ失って同じ重さなんだ(多分脱水症状が術時の点滴で回復したせい)

 

f:id:happyguppyaki:20170930181630j:plain

 

しかして相変わらず動物というのはタフで対応力がある奴らです。

あんだけボロボロになり、脚を一本失い、尾を失い、関係ないキンタマまで取り上げられ、他の箇所も外傷でボロボロで、肋骨が少なくとも一本逝ってた野郎も、2週間の抗生物質と抗炎症剤でバリバリ回復してしまうもの (肋骨は曲がったまま繋がったらしく一本だけヘンに飛び出したままだが)

さすがに最初は脚を失った事実を理解していなかったようで、左脚に力を入れようとしては転んでパニックに陥ってたんですがね、大体3‐5日で理解して、そこからさらに2週間で完全に3本脚生活に慣れました。恐るべき対応力。尻尾切った分バランス取れるのか心配だったんだけど、そんなん関係ないらしい。

 

というか、どうやってんのか知らないんだけど今では冷蔵庫の上に跳び乗る。ちょっと待ってくれ、お前後脚一本でどこからその跳躍力が出るんだ。

そして野良猫精神のせいなのかただの食い意地張った猫なだけなのか、度々キッチンに忍び寄り食い物を盗む。人目を理解しており一瞬の隙を狙ってくるのでおちおち料理もできません。部屋や押し入れのドアも開ける。ものスゴイ盗み癖のある猫を引いてしまった。勘弁してくれ。

 

f:id:happyguppyaki:20170930181633j:plain

 

まぁ盗み癖と食い意地以外は良い猫です。

以後お見知りおきを。