COVID-19で各国がロックダウンだなんだしていた今年こと2020年ですが、オーストラリアにおいても海外渡航の全面停止、外国人観光客の受け入れ拒否、各州の州境閉鎖と大変な鎖国ぶりでございました。
こうなるとロックダウンに辟易していた我々は、「そうだ、キャンプに行かなければいけないのではないか?」という強迫概念に駆られ、前回のキャンプ旅よろしく唐突に8連休の有給を取得し、感染をシッカリと抑え込み移動が許可されているQLD州内での旅を始めるわけでございます。
実際の旅ではケアンズから沿岸沿いを片道1500㎞走ってテントを張りながらサンシャインコーストまで行こう、理由は特にない!なんていう非常に乱暴な旅であり、終わってみれば往復で4000㎞を走行しており、どこから追加1000㎞が湧いてきたのかも分からない旅となっていたのですが、今回はその道中で2度通過した
マッカイ (Mackay) のビーチカンガルー
をご紹介。
ビーチカンガルーとは
ビーチカンガルーとはその名の通り海岸(ビーチ)に出没するカンガルーである。基本的に内陸で生活するカンガルー達は海岸付近ではなくブッシュやアウトバックで出会える野生動物なのだが、ここマッカイでは珍しく早朝に多くのカンガルーがビーチに出てくるのだ。
元々この地域のカンガルーは早朝にビーチに流れ着きうち上げられたマングローブの種の根元を栄養源として食べていたことが始まりであり、その習性が代々受け継がれてきたもの。開発によりマングローブが減少してしまった現在では政府の管轄下でレンジャー達が毎朝一定量の餌をビーチに撒きに来て、この特異な習性を維持管理している。
他の地域ではあまり見られない特殊な習性であると共に、「海と朝日とカンガルー」という光景が非常に絵になるため観光客に人気なのだ。
アクセス方法
マッカイはクイーンズランド州(QLD州)北東沿岸にある町。州都ブリスベンから北へ960km、ケアンズからは南へ733kmの場所にあります。国際便は無いのでアクセスするにはオーストラリアの国内線の飛行機に乗るか、車での運転の二択です。実際にはマッカイ近くのCape Hillsboroughという場所にビーチカンガルーは現れるので、アクセスには車が一番。
コースとしてはオーストラリアの沿岸部をぐるっと一周している、世界で一番長い国道こと国道1号線をずーーーーっと走るだけでケアンズからでもブリスベンからでもアクセスできます。1号線はよくメンテナンスされている幹線道路/高速道路なので全面アスファルトで走りやすく四駆等は必要ありません。
距離で考えると東京→広島間くらいの距離はあるんですが、時速100~110kmでガンガン走れるので8時間くらいで行けちゃいます。ケアンズからのアクセスであれば途中の町タウンズビル (Townsville) までが約4時間、そこからマッカイ (Mackay) までが更に4時間くらいなので、朝の7~8時に出発すれば日没前には到着可能。友人氏との2人旅だったので数時間おきに運転交代をしていたので一日で到着できましたし、帰りも一日で帰ってきました。
くれぐれも夜中に走行して早朝到着とか目指さないように。夜中に運転していたらカンガルーの飛び出し事故で車大破します。カンガルー見に行ってカンガルー轢いてたら元も子もないです。
宿泊地
カンガルーが見られるビーチは上の地図の黄色の矢印で示した場所であり、周囲はCape Hillsborough国立公園に囲まれた場所なので、宿泊できる場所は2ヵ所に限られます。今回の旅では両方に泊まってみたのでそれぞれご紹介。
Smalley's Beach Camping Area (矢印赤)
国立公園の端っこにひっそりと用意されたキャンプサイト。キャンピングカーでもテントでも宿泊可能。カンガルービーチからは車で10分ほどのところ。途中で砂利道になりますが乗用車でも大丈夫。
サイトは11ヵ所しかなく、要予約。政府管轄なのでウェブサイトから予約できます。一人一泊6.75ドルとお安い。もし空いているならサイト①は他のキャンプスペースから離れており静かで独占感のあるのでお勧め。トイレはサイト⑤~⑦辺りにあったはずで、近いからトイレ行くのは楽だけど人の往来も多い。サイト⑪(我々が泊まった写真の場所)も端の場所で静か。
キャンプサイトとは言ってもがっつり管理されているものではなく「共同トイレありますよ」ってだけです。電気なし、水道はトイレに併設されてるほとんど水圧がないものだけ、シャワーなし、キッチンなし、売店なし、電波なし、ゴミ箱なし。
人混み嫌いで貧乏キャンプ旅が好きな我々にはとても過ごしやすい環境だったけど、一般受けはあまりしないかもしれない。他人を気にせず広々と自炊してノンビリと鳥や海を眺めながら過ごすには素晴らしい場所だった。
Cape Hillsborough Nature Tourist Park (矢印青)
カンガルー達が来るビーチの目の前に陣取っている宿泊施設。キャンプ用のサイトの他にロッジへの宿泊オプションもある。
この周辺で唯一の宿泊地であり、ビーチカンガルーという格好の客寄せを武器にしたリゾート地のためお値段は高めに設定してある。詳しくはウェブサイトを確認すること。ロッジ宿泊であればピンキリで100~250ドル程、電力なしのキャンプサイトであっても一泊2人で35ドル程と割高ではある。
テントを張るために割り当てられたキャンプ地はテント2張と車を置けるだけの中々に狭いスペースではあったけれど、最低限の土地は確保できます。
こちらの宿泊地はやはり特筆すべきはアメンティティーの充実。売店、軽食や酒も出せるバー、トイレ、お湯の出るシャワー、キッチンスペース(レンジや電気ケトル付き)、プールまで利用可能。ロッジに宿泊すれば勿論個人トイレやシャワーがついてくる。ただし携帯の電波はここも通じにくくネットもつながらない。
値段が割高で人も多いが施設の充実は帰路の途中で4日間シャワーを浴びていなかった我々には有難かった。そしてカンガルーが出没するビーチまで歩いて1分の近さである点も利便性を増す要素である。
ビーチカンガルーの撮り方
ビーチカンガルーは早朝にしか出現してくれません。日の出からおよそ30分程度で解散してしまい森へと戻ってしまうので、出会うには日の出よりも前にビーチに行って待機するのが一番です。日の出は季節によって違うので要確認です。天気に関してはもう運次第。曇っていれば朝日を背にした写真は撮れないし、雨なんて降ろうものならオシマイです。
日の出の直前くらいにレンジャーさんがやってきて餌やりをします。大体その前から数匹のカンガルーやワラビー達がスタンバってますが、日の出前は光量少なくて写真はなかなか厳しい。
カンガルー達はレンジャーのオッサンをよく見分けており、オッサンがビーチに現れると一斉に集まります。よって餌やり会場は基本的にオッサンが現れてすぐのビーチ入り口付近になります。
しかしてこれが厄介で、餌やり時間の間は周り中に観光客達が押し寄せます。皆さんスマホを片手にワイワイと写真を撮るわけですが、こうなると他人は映り込むし背景にこだわることもできません。あまつさえ数枚写真撮って飽きた連中がどういう理由か足だけ海に浸けようと背景側に歩いて行ったりしてしまうので「綺麗な写真を撮りたい!」という人にはモヤモヤする展開となります。
というわけで、餌やり時間ではあまり写真は狙えません。狙いは餌を食べ終わって各自ノンビリと森へ帰るかー、みたいなノリになっている時です。
15分くらい餌やり会場でゴハンを食べたカンガルー達は、数匹同士で東西へと解散していきます。そこまで一気にいなくなるのではなくノンビリとビーチを歩きながら帰っていくので、ここが写真ポイントです。より広い国立公園の敷地が広がる西側に向かう個体が多いので、餌やり会場でカンガルー達が餌を頬張っている間に早々に西側に移動して、帰路途中のカンガルーを待ち伏せするのが良い。