とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

2周目の戌年

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戌年です。正月ボケは抜けません。

 

うちのチャンス君の誕生日は1月11日。ワンワンワンで非常に憶えやすい。

今年で14歳になっちゃいました。もう完全にお爺ちゃん。戌年二周目だねー。

 

ゴールデンレトリバーの平均寿命は12歳程度と言われてます。

自分がオーストラリアに移住してきて以来ずっと一緒のこいつも、獣医学部卒業の頃は危ないなぁ、守ってやれるかなぁ、なんて思ってましたが、なんだかんだとここまで一緒にいてくれてます。最近シモのほうが緩いんだけどね。

 

しかして仕事上、こういう老犬が本当に短期間でコロッと倒れるケースは毎週見てるんでいつ何が起こるかと思うと恐ろしいですなあ。

 

この前、14歳の誕生日のお祝いに飼主さんがワンちゃん用のケーキのレシピをネットで調べてバースデーパーティをしてあげた、というケースが来ました。次の日に吐き気を催し、食欲が無くなってひたすら丸くなってるというので入院したのです。レシピを見ても何も毒となるモノは入ってなかったのですが、腹部に強烈な痛みがあったので血液検査を行ったら急性膵炎(すいえん)。真心込めてお祝いのために作った「イヌ用ケーキ」のクリームチーズの脂肪分に、老いた身体が耐えられなかったんですね。入院して痛み止めと点滴治療を出来る限り施しても持ちこたえませんでした…

一瞬のことで最悪の結果になる。怖い。

あの日、飼主さんに最悪のニュースを電話するのは本当につらかった。誰が何と言おうと飼主さんは自分が殺してしまったという罪の意識が生まれてしまうから。

 

そういうのを見てるともう「普段の日常」を壊したくないという恐怖に支配される今日この頃。毎日触診して、6ヶ月毎に血液検査して、最良と思える治療と投薬をして、常に一緒にいる。とにかくコレですなぁ。