とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州はケアンズに暮らす獣医のちょっと非日常を綴るブログ

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【2019年版】餌虫の栄養価を徹底比較 ‐ コオロギ類、ワーム類、デュビア類を比べてみよう

前回興味本位で「蛇に与える餌はマウスがいいのかウズラが良いのか」という素朴な疑問から蛇族に与える餌の栄養価を比較した記事を投下したところ、とある方から、

「トカゲやカエルの餌として使用される虫の栄養値について書かれてみては」

との提案を頂きました。

happyguppyaki.hatenablog.com

この提案を元に、2018年の一月頃に第一回目となる餌虫比較記事を投稿いたしまして、その後、様々な方向から各種のツッコミや異議、意見等を頂き大いに盛り上がりましたので、ここに2019年版と称して新たにリフレインした餌となる虫の栄養価比較表を投稿したいと思います。

 

今回も前回同様、日本でメジャーに使われていると思われる餌虫を中心に、

  • ヨーロッパイエコオロギ [Acheta domestica
  • フタホシコオロギ [Gryllus bimaculatus
  • デュビア [Blaptica dubia]
  • レッドローチ [Blatta lateralis]
  • ミルワーム [Tenebrio molitor larvae]
  • ジャイアンミルワーム [Zophobas morio larvae]
  • ハニーワーム [Galleria mellonella
  • シルクワーム [Bombyx mori larvae]
  • ハエ [Musca domestica]

の9種類に焦点を置いていきます。

 

 

トカゲやカエルの必須栄養量について

相変わらずの大前提であるここから始めます。

トカゲやカエルの必須栄養量(Nutritional Requirements)です。「この栄養をこれだけ摂取しないと健康体でいられないよ!」という値ですね。

そして相変わらずの結論ですが、カエルやトカゲにどの栄養素がどれくらい必要なのか、という問題は現状の科学では解明されていないと思われます。そもそもコレが判明してるのって人間に近しいイヌネコや家畜、実験動物くらいなのよね。

 

ということでいつも通りですが、もう大抵の動物は大体みんな似たような造りになってんだよ!という発想で、他の生物の必須栄養量を代用して考えていきます。応用栄養学で話を進めていきますので、例えばネズミやニワトリで不足・過剰摂取になることも、トカゲやカエルじゃ分からんよ、というお話。

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餌虫の栄養価:総比較(生) 

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まずは前回でも使用した生餌の総比較から貼っていきます。各項目毎に、一番高い数値を赤、次点をピンク、最低値を青、次点最低値を薄青色で視覚的に分かりやすくしました。

こちらの比較表は「生餌」での比較となってます。つまり、水分を含んだ状態の1000g分の餌虫のうち、どのくらいの割合が各種栄養素になっているかを可視化したものです。普段から扱っている「餌虫」の単純なボリュームと比較する際にはある程度解りやすいかと思います。

後述では上の表を踏まえて各種の虫について解説しますが、メンドイ人は目次からまとめに飛んでください。 

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餌虫の栄養価:総比較(乾物・DM)  

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次に、前回突っ込んでくださった皆様のためにご用意しました、乾物(DM)の総比較です。各項目毎に、一番高い数値を赤、次点をピンク、最低値を青、次点最低値を薄青色で視覚的に分かりやすくしました(一部間違えてます、直すのメンドイです)。

こちらの比較表は「乾物(DM、Dry Matter)」での比較となってます。つまり、栄養として換算されない「水分」を省いた、水分以外の栄養素の割合を可視化したものです。

後述では上の表も踏まえて各種の虫について解説しますが、メンドイ人は目次からまとめに飛んでください。 

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各種の虫の消化率は?

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出典はBosch et al. (2014)。イヌの消化機能を使った試験管内消化率

栄養を語る上でもう一つ大切なのが実際に含まれている栄養価のうちどれくらいが消化・吸収されているのかです。特に虫の場合は外骨格に消化し辛いキチン質が含まれてますからね。

よく爬虫類や両生類の糞の中に虫の脚やら産卵管やら羽根やらが未消化で排出されているのを目にするかと思います。あれの割合をおおよそ比較していると思って下さい。

Bosch et al. (2014)ではゴキブリやコオロギがイヌやネコの餌としての将来はないか、というテーマでこの消化率について試験管内実験を行っていましたので、その結果を丸々貼らせてもらいます。

全体的に見るとミルワーム類が90%越えの高消化率、次点でイエコと続き、ゴキブリ類は80%辺りに収まるという結果です。ハエに関しては成虫を使っていないので何とも言えませんが、幼虫より蛹の方が断然消化率が下がっているためもしかすると成虫では更に下がる可能性がありますね。

ただし上記の結果はあくまでイヌ類の消化機能における実験結果であり、爬虫類や両生類のそれとは結構異なる可能性もあります。爬虫類や両生類における消化率の実験結果は見つかりませんでした。

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各昆虫の栄養素を考察

ヨーロッパイエコオロギ [Acheta domestica

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参照文献はFinke (2002)をメインにしてます。他にも色々な論文がイエコに関しては書いていますが、例えばFinke (2015)の場合ですとイエコの幼令で内臓内に何かしらのた食べ物が入っているのに対し、Finke (2002)の場合は計測前に成虫を24時間絶食させているためイエコ本来の栄養価情報としての質が上です。

 

全体的に相当優秀な栄養バランスと言えます。コオロギ系はハエに次いで高タンパクな餌で、エネルギー量も申し分ないでしょう。必須アミノ酸の類も大きく目立った不足が無く、コオロギだけを主食として与えても蛋白源としてさほど問題無さそうに思えます。昆虫食で不足しがちなアルギニン量も申し分なさそうです。

ミネラル要素も基本的に優秀で高水準ですが、全ての虫に共通して言えることでカルシウムの添加は必須です。またビタミン類の添加もしたいところですが、上記の数値は絶食状態のコオロギの栄養価ですので、Ca配合食や野菜や果実類等、カルシウムやビタミンを多く含んだ餌をガットロードすることで大部分が補えます

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フタホシコオロギ [Gryllus bimaculatus]

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相変わらずこいつの論文がほとんど見つかりません。大体がイエコの論文です。論文誌には掲載されていない模様ですがYoung (2010)がイギリスの大学で名誉学位過程の論文を掲載しており、これを一番信頼性が高い参照文献としています。餌用フタホシの民間配給会社から得た成虫を受け取ってから24時間に渡り燕麦のみを与えてから計測してます。まぁ一部データが時間切れで無かったりと大学生らしい(非常に親近感の湧く)ずさんさもある文献ですが、見つかった中では一番マシです。

他にはOgilvy et al. (2011)がフタホシコオロギとイエコを使ったカロテノイドの蓄積量について比べた論文がある程度ですが基礎栄養価には触れずカロテン値だけしか踏み込んでいないので参考にはしません。ちなみにカロテノイドを多く含んだ餌を与えてすぐに調査した場合、フタホシのほうがイエコよりカロテノイドの蓄積量は多かったらしい(つまりビタミンの多い餌を与えてすぐ給餌に使う場合フタホシのほうが良いかも説

時折フタホシコオロギの栄養価を数値で載せてる個人サイトをチラホラ見かけますがその数値どこから来てるんスか。しっかりとした参照文献を載せているサイトが見当たらないのは自分の勉強不足でしょうか。

 

 というわけで一応イエコと見つかっただけのフタホシの栄養価比較を載せますが、多分栄養価はイエコとフタホシに大した差はないんじゃないでしょうか。消化率に関しても同様に情報不足ですので、イエコとフタホシどちらがより良い、という議論の科学的根拠は無いと思われます。

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 デュビア [Blaptica dubia]

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新たに紹介してもらったKulma et al. (2016)の論文を参考文献として使用させていただいてます。最新論文である面と、注目したかったカルシウム:リン比率に着眼していた面で有力なソースとしましたが、この論文で使われたデュビアは計測前に絶食を行わず、ドッグフード、野菜類、パンを食せる環境下に置かれていたのは比較する面で残念です。よって、表には反映していませんが前回同様Yi et al. (2013)の数値も記事では比較対象として挙げます。

デュビアに関するミネラルやビタミンの情報は学術論文においては見つかりませんでした。アメリカはカリフォルニア州に本拠地を置くデュビアの販売グループDubiaRoach Depot」には個人的に成分分析をしたというデュビアの栄養価数値が掲載されていますが、本人が「これは科学的ではないしデュビアを売る組織としてデュビア贔屓になっている可能性もある」と断っています。正直で好感持てますね!成分分析の方法等は科学的に説明されていないので参考にしません。

 

総合的な栄養価はイエコに似ています。コオロギ系のほうが若干タンパク寄りなのに対して、デュビアはミネラル分がコオロギより多めです。アミノ酸量は全体的に見れば高水準ですが、ところどころに比較対象内でも低値を叩き出していたりもするので、得手不得手がありがちか。特に虫を食べる鳥類や爬虫類で不足しがちといわれるアルギニンが他を圧倒する高数値なのは興味深いです。

消化率はコオロギのほうが約4%ほど有利(84% vs 88%)という実験結果があります。

注目したいのはCa:P比率。Kulma et al. (2016)の論文によるとリンの保有量が馬鹿みたいに高く、まさかのCa:P比率が比較対象内で最低値。さすがにこれは何かの間違いだろう、餌食わせてた分だけオカシイのは?なんて思いましたが、Kulma et al. (2016)の同論文で、同環境下で計測されたレッドローチの栄養価やCa:P比率は後述するFinke (2013)のレッドローチの数値に非常に近く同調性を見せているので、実験方法が単純な問題ではないかもしれないのです。

 

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レッドローチ [Blatta lateralis]

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Finke (2013)の論文で、レッドローチの幼体の栄養価が記載されています(写真は成体だけどな!)。24時間絶食してからの計測ですので信頼性が高い数値。Kulma et al. (2016)の論文にも非絶食状態のレッドローチの幼体・成体の栄養価が載っていますが、おおよそ同値のトレンドを示しています。

 

水分量が高めの餌の中では高エネルギーなのは脂質が高いからだと思われますが、ゴキブリ系の消化率は80%台である面を考慮に含めるとコオロギと同じ位になるかもしれません。アミノ酸値は軒並み優秀と言って良いでしょう。

Ca:P比は今回比べた虫の中で一番良い、素の状態で比べた場合であれば高カルシウムの昆虫食です。デュビアは低かったのにどうしてこいつはCa高いんだ…。勿論、2:1には到底及びませんのでCaの添加はCa最高値のレッドローチでも必須です。

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ミルワーム [Tenebrio molitor larvae]

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参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果です。

 

なかなかのバランス食と言えます。あえて不得手を挙げるならば全体的にミネラル分が少なめの餌だとは思いますが、上記は絶食後の計測値ですので、餌でガットロードしてあげてください

カルシウム値がデュビアに次いで最低ですのでカルシウムの添加を絶対に怠ってはいけない餌ですが、よく耳にする「ミルワームを与えるとカルシウム不足になるから虫を与えるなら○○」という論調でミルワームを毛嫌いできるかといえば違います。調べた限り、どの昆虫であってもカルシウムは不足するのですから。

アミノ酸量は軒並み優秀で、基本的な不足は無いと思われますので、ミルワームを主要タンパク源としても問題ないかと。

脂質が多いのでビタミン各種はしっかりと添加及びガットロードしましょう。

特筆すべきはその圧倒的な消化率で、90%を超えています。ミネラルとビタミンに気を配っていれば、栄養バランスが良く消化吸収率も素晴らしい万能餌と言えるのでは。

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ジャイアントミルワーム [Zophobas morio larvae]

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ジャイミルやらグレートミルワームとか色々呼称されますが、英語ではスーパーワーム(Superworm)です。参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果。

 

その大きさよろしく、順調にミルワームを太らせたような栄養価です。脂質が多くなり、相対的に水分量が減った結果、エネルギー量はミルワームより高くなってます

アミノ酸量は問題ない水準で優秀です。これといった大きな不足は無いように思われます。主要タンパク源としてしっかりと機能してくれると思われます。例えば必須アミノ酸であるメチオニンは比較対象内で最低値を出してますが、十分に必要量の摂取には貢献できると考えます(参考までに、ニワトリに必要なメチオニン量が~3g/kgDM)

総合的なミネラル分はミルワームよりやや悪く、しっかりとした各種ミネラル・ビタミンの添加及びガットロードが推奨されますが、そのエネルギー量と消化率の良さは他の追随を許さないレベルのコスパの良いタンパク源として期待できます。

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ハニーワーム [Galleria mellonella

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英語ではワックスワーム(Waxworm)です。ハチの巣で蜜蝋を喰ってるからワックスの名ですね。参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果。

 

特筆すべきは勿論その圧倒的な脂質とエネルギー量!!バカみたいに高エネルギー食なのはさすがハチミツの名を頂いているだけのことはあります。産卵後や病気からの回復途中等、エネルギーを必要としている際に高エネルギー源として与えるには適している餌と言えます。

が、気を付けていただきたいのが他の数値。タンパク質もミネラルもビタミンも軒並み低いという大きな特徴があります。脂肪分が多いのでビタミンE類の欠乏は致命的。カルシウム・ビタミンの添加は必ず行いたいところです。

アミノ酸量も軒並み低いのでハニーワームは主要タンパク源には向きません。特に鳥類においては昆虫食からくるアルギニン欠乏症が報告されるケースもあるので他の虫をメインに与えましょう(哺乳類は尿素を作る過程でアルギニンを体内生成しますが尿酸を排出する鳥類ではアルギニンが不足しがち。よって爬虫類や両生類にもこれは当てはまると思われます)

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シルクワーム [Bombyx mori larvae]

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参照文献はFinke (2002)。上記の栄養価の中には腸内の餌も含まれています。また、上記のカイコは体重1g程度の幼虫を使用とあります。他の論文では、例えばFrye and Calvert (1989)では平均3.6gのカイコを6匹だけ使った検証であったり、検証時のカイコの大きさやサンプル数に差がありなかなか良い検証論文が見つかりません。

 

とにかく水分量の多い餌虫です。ただこの水分量に関しては論文によって振れ幅の大きい項目でして、例えばFrye and Calvert (1989)では腸の内容物込みで水分量76.3%、内容物無しなら69.9%(ただ先述した通りこれは3.6グラムの5令幼虫6匹だけから計算した平均値です)。水分が多いということはそれだけコスパの悪い餌虫という考え方が出来ますが、水分量の多さが脱水気味の個体に好影響をあたえたり、拒食気味の個体の食欲を促す目的で優位に働くことが考えられますね。

また、DM比較でみると非常にミネラル分が豊富。これは多くの比較対象が絶食状態なのに対してシルクワームの栄養分析には腸内の桑の葉がふくまれてしまっている面から頭一つ抜けてるものかと思われますので、他の餌虫も上手にガットロードしてあげればシルクワームの水準に追いつくことは可能だと思います

一方で主要タンパク源としての役割は他の餌虫より一歩引けを取ります。生餌換算すると相当量のシルクワームを給餌しないと、タンパクに優れた他の餌虫と同量のタンパク質を補完することができません。

前回も否定しましたが日本の爬虫類界隈で時折囁かれる「シルクワーム伝説」の中に、シルクワームは非常に高蛋白である、みたいなお話がありますが、あれはDM蛋白質%を見た誰かが間違った解釈をしたまま広がってしまったガセである可能性が非常に高いと思われます。シルクワームは基本水分です。詳しくは下記の別記事を参照してください。

happyguppyaki.hatenablog.com

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ハエ [Musca domestica]

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参照文献はFinke (2013)。蛹から孵化して24時間以内のハエを計測しています。ショウジョウバエとか情報探すのいよいよ面倒だったんでどこにでもいるイエバエの栄養価で許してください…。

 

ハエの栄養価は正直訳分からないです。水分と灰分が高く、特にミネラル群が全体的に意味分からない感じで高いです。鉄分とかスゴイ。どうしてこうなった。

脂質の低さからエネルギー量は低めで、体力つけるにはいっぱい食べる必要がありますね。しかして蛋白質は意外と多く含んでおりアミノ酸もバランスが取れているため、優秀な長期ダイエット食として機能しそうです。ダスティングやガットロードが難しいのが難点ですがね。ビタミンEも他の虫と比べると高めなので、いよいよもって脂肪分の多い個体には適した餌と言えます。

しかし気になるのは消化率です。ハエの成体の消化率は文献が見つからなかったのですが、Bosch et al. (2014)によるとハエの幼虫(ウジ)が消化率84%程あったものが、サナギになると一気に68%にまで激減するという実験結果がありますので、じゃあ更に育った成虫のハエってどこまで消化率悪いんだよ、という話になるかもしれません。流れに沿って消化率が下がるのか、それとも変わらなかったり上がったりするのか、詳細は不明ですが消化率が悪いという可能性はありますね。

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総合評価

まず全体的な話として、カルシウムの添加は必須。Ca:P比率が2:1どころか、どの餌虫であっても1:1を割っているため、カルシウムの添加無しでの給餌はご法度です。逆に言えば、しっかりとガットロード&ダスティングを行い規定量のカルシウムを追加することが出来れば、「カルシウム不足を招く餌虫」は中々存在しないと思われます。

 

どのレベルまでガットローディングすれば問題ないのか、という「ガットロード基準論」は近々別記事でまとめてみようと思います。

 

以下、カルシウムはビタミンの添加は必須であることを大前提にまとめます。 

 

ヨーロッパイエコオロギ

高タンパク質でアミノ酸のバランスも抜群低脂質に抑えており割とヘルシーで消化率も高いというまさに万能餌。さすがは餌虫の代表、主食として申し分の無い栄養価と言える。食欲旺盛で雑食という面もストックの容易さやガットロードのしやすさに拍車をかけていて高評価。

フタホシコオロギ

イエコと比べて可もなく不可もないと思われる。イエコより栄養価が高いやら消化に良いやら言われていますが、自分が探した限りでは科学的根拠がなかった。イエコ同様、主食として申し分ない物だと思われるが確証は無し。イエコよりストック飼育が難しいと言われている本種、そこまで苦労しないでイエコでいいんじゃないか説が浮上です。

 デュビア

高タンパク質低脂質に抑えている万能餌。ただし消化率に関しては情報が見つからなく、ゴキブリ系の消化率は低めであるという結果からコオロギに比べると若干消化率で負ける可能性はある。管理のしやすさや雑食性もストック餌虫としての利点であり、主食として機能してくれる。ただしカルシウムはミルワーム並に低い可能性が出ているのでガットロードとダスティングはしっかり気を配ろう。

 レッドローチ

脂質がある程度あり、コオロギやデュビアよりエネルギー量は多い消化率は80%台に留まりコオロギに劣る。アミノ酸量等に問題は無い。カルシウム対リン比率は一番高水準であるが、それでも素のままではカルシウム量は圧倒的に不足しているので添加が必須。最終的な評価は少し高脂質な面が不安要素かになりコオロギとデュビアには劣るか。

ミルワーム

ビタミンとミネラルの低さをダスティングやガットロードで補ってやれさえすれば、栄養バランスが良く消化吸収率も素晴らしい万能餌。特に消化率90%超えは栄養源として与えていて安心感がある。タンパク質のバランスからみて主食としての機能は十分だが、脂質が高めなのは気を付けたい。繰り返すがカルシウムを含むミネラル分は添加必須である。

ジャイアントミルワーム

ミルワームの蛋白質と脂質を増やしたような餌脂肪分が多い分更にビタミン量に気を配りたいところだが、消化率の良さも加わって、単純な主食としてのエネルギーコスパで考えれば最強である。こちらも繰り返すがカルシウムを含むミネラル分は添加必須だ

 ハニーワーム

餌虫界隈における二郎ラーメンでありマクドナルドである。その圧倒的脂質量とエネルギー量は他の虫の追随を許さない産卵後や調子を崩した後、エネルギーを欲している個体に与えるのが正しい使い方か。ただし決してヘルシーな餌とは言えないので多用は禁物。タンパク質もあまりバランスが良いとは言えないので主食には向かない

シルクワーム

水分の高さでは他を圧倒していると思われる。コスパ的には主食として使いたくないかもしれないが、水分の多さを逆手にとって脱水気味の個体や、食欲が落ちている個体白色の餌に反応が良い個体などには使い勝手の良いタンパク源となるだろう。桑の葉を食すことで高ミネラルの餌になると言われているが、それは果たしてガットロードした他の虫餌と比べてミネラルの「何」が抜きん出るのかは調べても良い答えが帰ってこなかった。

 

ハエ

何かよく分からんがミネラルが超豊富な謎のイケメン枠。タンパク質のバランスが取れており低脂質ヘルシー食。ビタミンとカルシウムに気を配っていれば主食としてハエを使うのは問題なさそうである消化率に関しては少し疑問が残るがはっきりとした科学的根拠が不足している。

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参照文献一覧

ブログや記事内リンクの性質上、参照文献の順番をいじるの面倒なのでアルファベット順じゃないけど許してちょうだい。

  1.   Finke, M.D. (2002) Complete Nutrient Composition of Commercially Raised Invertebrates Used as Food for Insectivores. Zoo Biology 21: 269-285. [Web]
  2.   Finke, M.D. (2015) Complete Nutrient Content of Four Species of Commercially Available Feeder Insects Fed Enhanced Diets During Growth. Zoo Biology 34: 554-564. [Web]
  3.   Young, C.E. (2010). Proximate and Mineral Composition of Selected Whole Invertebrates and Nutritional Effects of Different Diets on The Field Cricket Gryllus Bimaculatus. Nottingham Trent University. [Web]
  4.   Ogilvy, V., Fidgett, A.L. and Preziosi, R.F. (2011) Differences in Carotenoid Accumulation Among Three Feeder-Cricket Species: Implications for Carotenoid Delivery to Captive Insectivores. Zoo Biology 30: 1-9. [Web]
  5.   Bosch, G., Zhang, S., Oonincx D.G.A. and Hendriks, W.H. (2014) Protein quality of insects as potential ingredients for dog and cat foods. Journal of Nutritional Science 3: 1-4. [Web]
  6.   Yi, L., Lakemond, C.M.M., Sagis, L.M.C., Einsner-Schadler, V., van Huis, A. and van Boekel, M.A.J.S. (2013) Extraction and characterisation of protein fractions from five insect species. Food Chemistry 141:3341-3348. [Web]
  7.   Finke, M.D. (2013) Complete Nutrient Content of Four Species of Feeder Insects. Zoo Biology 32(1): 27-36. [Web]
  8.   Kulma, M., Plachy, V., Kourimska, L., Vrabec, V., Bubova, T., Adamkova, A. and Hucko, B. (2016) Nutritional value of three Blattodea species used as feed for animals. Journal of Animal and Feed Sciences, 25: 354–360 [Web]
  9.   Frye, F.L., and Calvert, C.C. (1989) Preliminary Information on the Nutritional Content of Mulberry Silk Moth (Bombyx mori) Larvae. Journal of Zoo and Wildlife Medicine 20(1):73-75. [Web]

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